前回の続き。
勇気を出してハローワークからデパート清掃の求人に応募したものの、担当者が不在だからあとでこちらから掛け直すと言われてしまいました。
さて、私は直ぐに自宅に戻り、電話が掛かってくるのを待つことにしたのですが、これがなかなか掛かってこない。
いつ電話が掛かってくるかわからないと思うと、緊張して何も手が付かないので困りました。
夕方になってようやく電話が掛かってきましたが、担当者さんから驚きの言葉を告げられます。
なんでも女子トイレの清掃があるので、この求人は女性しか求めてないということでした。
意気消沈。
だったら求人票にそう書いとけよって思います。
でも、これで話は終わりじゃありません。
担当者さんから
「別の現場で男性の清掃員を募集しているので、そちらで面接を受けてみませんか」と言われました。
話を聞くと、それは最寄り駅から電車で30分ほどの場所にある大型のショッピングモール。
行ったことはありませんが、場所は何となくわかります。
私が働きたかったデパートより遠いですが、通えない距離じゃない。
迷いましたが面接を受けることにしました。
せっかく誘っていただいたわけですし、それにまたハローワークに行って別の求人に応募するのも面倒くさい。
すぐに面接の日時が決まり、通話は終了。
私は落ち着く暇もなく、そのまま履歴書の作成に取りかかりました。
「ついにこの時がきたか」という感じです。
思えば、ヒキニート脱出を決意してからもう2年になろうとしていました。
履歴書を書き上げた後、サポステの面接対策講座でもらったプリント読み返します。
面接に臨むにあたり、私には2つの懸念事項がありました。
1、想定外の質問をされたらどうするか?
2、履歴書の空欄部分について聞かれたらなんて答えるか?
私のとって一番の悩みの種は2です。
面接の日時が決まった後日、サポステに行って相談をしました。
キャリアカウンセラーに私が書いた履歴書を見てもらい、問題が無いか確認してもらいたかったのです。
その相談の場で私は、面接で履歴書の空欄部分について聞かれた場合、正直に10年間引きこもっていたことを伝えるべきか聞きました。
キャリアカウンセラーの女性は「それは話すべきではない」と言いました。
曰く、自分にとってマイナスになるようなことを口にすべきではない、と。
確かにそうだなと思いました。
だけど、じゃあどうするか?
正直にカミングアウトするのがダメならばどう答えるのが正しいのか。
それについてはキャリアカウンセラーの女性がいくつかアドバイスをくれました。
そして自分なりに考えた結果、もし面接で高校中退後の10年の空白期間を突っ込まれたら以下のように答えることにしました。
「実家の仕事を手伝ったり、自治体のマナー講座、コミュニケーション講座などに参加しながら前向きに活動しておりました」
引きこもっていた10年の間に、実家の仕事を何度か手伝ったことはあります。数えるほどですが……。
なので、嘘はついてません。でもちょっと苦しいですね。
さて、そんなこんなで面接当日。
沈痛な面持ちで電車に乗ってショッピングモールに向かいます。
モールの中の待ち合わせ場所にやってきた私は、採用担当者から聞いていた責任者の携帯番号に電話をかけ、着いたことを知らせました。
「はい、今行きます」
返ってきた声は若干幼さを感じさせるような若い声。
やがて私の前に現れたのは、20代後半から30代前半と思われる男の人。
清掃の責任者と聞いて、私は頭の中で勝手に中年男性の姿を想像していたので、まさか自分とそんなに年齢が変わらない人が出てくるとは全く想像していなかったのです。
かなりめんくらいました。
笑顔で挨拶する責任者さん。私も挨拶を返します。
この人に私の空白だらけの履歴書を見られてしまうのかと思うと恥ずかしくてたまりません。
この時点で私は、「この求人に応募したのは失敗だったかも」と思い始めていました。
私は清掃控室に案内され、そこでいよいよ面接が始まりました。
まず持ってきた履歴書を渡し、責任者がそれに目を通します。
そして以下のような質問をされました。
「清掃の仕事をされた経験はありますか?」
「週に何回出れますか?」
「いつから働けますか?」
「何か質問はありますか?」
聞かれたのは確かこれだけだったと思います。
責任者から「何か質問ありますか?」と聞かれた時、私は何か質問したと思うのですが、何を聞いたのかよく覚えていません。
面接の時間は5分にも満たなかったと思います。
面接が始まったと思ったら終わっていた、という感じ。
履歴書の空白期間について突っ込まれることもなく、想定外の質問が飛んでくることもなく、面接は終了。
その場で採用が決まり、私は働くことになりました。
驚きです。
こんなあっさりと採用が決まるとは予想外でした。
もちろん採用されたのはうれしかったですが、この時は戸惑いの方が強くて素直に喜べなかったです。
「俺みたいな人間を雇うなんて、この会社ちょっとおかしいんじゃないのか? 本当に大丈夫なのか?」なんてうがった見方をしてしまいます。
帰宅後、両親やお世話になったサポステスタッフにパートで採用されたことを伝えると、皆とても喜んでくれました。
就労まで2年も掛かってしまいました。
2年ですよ、2年……。
さすがに時間をかけ過ぎたと感じます。
サポステに通い始めた段階で、もっと面接をバンバン受けて社会経験を積むべきだったと少し後悔しています。
私は面接というものを必要以上に恐れ過ぎていました。
これ以後、現在に至るまで面接は5回受けていますが、空白期間について聞かれたりしたことは一度もありません。
正社員の面接だったらこう簡単にいかないと思いますが、パートやアルバイトの面接だったらまあこんなものじゃないでしょうか。
さて、これまで長々と駄文を書き綴ってきましたが、これが私が10年間の引きこもり生活からの脱出に至った流れです。
かいつまんで書いているので、説明不足気味だったりするのはご容赦ください。
清掃パートについても追々書いていきたいと思います。
とりあえず今回はここまで。
読んで下さりありがとうございました。