灰色の毎日

人生の敗残者が綴る日記。2023年から株のデイトレードを始めました。

投資を始めることになったキッカケの話

 

引きこもり生活から脱出したい、でもいきなり働くのは怖い。

そんな時、サポステ職員の勧めでボランティアをやってみようと思った。それが10年近く前。

 

 

そのボランティア活動を通して知り合ったIさん(仮名)というおばあちゃんがいる。

昨日の記事でちょっとだけ触れたが、俺が証券口座を作ったのは彼女の影響だ。今回はそのことについて書こうと思う。

 

 

このIさんというおばあちゃんが、どういう人かについても少し触れておこう。

 

一言で彼女を言い表すなら、「善人」だ。

 

この言葉以外に彼女を言い表す言葉は無い。10年以上の付き合いになるが、彼女が人の悪口を言っているところを見たことはないし、想像もできない。

大きな災害や凶悪な事件のニュースを見て、本気で心を痛め、会ったこともない他人のために涙を流したりできる人。それがIさん。

 

人の悪口ばかり言っているうちの両親などとは大違いだ。

 

 

で、去年の夏ごろ、彼女から俺の携帯に電話がかかってきた。

 

「最近あまり活動に参加してくれないけど、元気にしてる?」

 

俺のことを心配してくれているみたいだった。

 

「ハイ、元気ですよ」と答える俺。

実をいうと、あまり元気では無かったんだけど、心配をかけたくないので何も言わなかった。

 

ボランティア活動を始めた当初はまだ無職だったわけで、だから頻繁に活動に参加できた。でも最近は派遣の仕事もあり、もう何年もボランティア活動にはまったく参加できていない。ちなみに活動の内容というのは町のゴミ拾いだ。

 

Iさんから、久しぶりに会って話せないかと尋ねられた。なんでも、俺に話したいことがあるという。「いいですよ」と答え、仕事が休みの日を伝えて彼女の家に招かれることになった。

 

話って何だろうか。

 

気になりつつ、当日自転車で彼女の家に向かった。我が家から自転車でだいたい20分くらいの距離にIさんの家はある。

 

「いらっしゃい。元気だった?」

笑顔で俺のことを迎えてくれるIさん。

リビングに招かれ、和菓子とお茶をごちそうになる。そしてしばらくお互いの近況などについて話した後、気になっていたことについて聞いてみた。

 

「あの、話ってなんですか?」

 

「私ね、株を始めたのよ」

 

「え、株ですか?」

 

「そうよ」

 

笑みを浮かべそう答えるIさん。

ちなみにIさん、年齢は今年で82、3歳だったと思う。

パソコンをはじめ、最新の家電やハイテク機器などほとんど使えない、そんなIさんが株を始めたというのに驚いてしまった。

 

株についてほとんど素人だったIさん。知り合いの影響で自分も株を始めてみようと、投資について勉強をし知識をつけて数年前から高配当株を買っているのだという。

 

「私もついに投資家よ」

なんて言って無邪気に笑うIさん。

 

 

すごいなと思う。

 

何がすごいって、80歳を超えても自分の知らない世界について勉強して今から入っていこうと思えるその向上心の高さというか、挑戦心というか、うまい表現が思い浮かばないけど、つまりそういうとこよ。心から彼女を尊敬する。

 

 

それに引き替え、俺はなんだ?

向上心のかけらもない。新しい世界に飛び込んでゆく気概も無い。

毎日をだらだらと過ごしているだけの人生の敗北者。

 

見習わなければいけないんじゃないのか?

素直にそう思った。

 

 

Iさんは言った。

「今日、〇君(俺の名前)に伝えたかったのはね、汗水たらして働くことだけがお金を稼ぐ方法じゃないということ。こういう方法もあるということを知っておいてほしいと思ったの。今はもうただ銀行にお金を預けていたってお金は増えないじゃない? 」

 

Iさんは今、とある地方銀行の株を結構持っていて、含み益も出ているとのこと。さらに今度配当金も貰えるのだと嬉しそうに語っていた。

 

この時の俺は株の知識なんてないから、配当金なんてシステムがあるのを全然知らなかった。

その会社の株を持ってるだけでお金が貰えるだと? 本当に?

 

興味が湧いてきた。

 

「投資って、怖いイメージがあるかもしれないけど、正しくリスク管理できていればそれほど恐れるものではないのよ。〇君は頭がいいから、きっと私よりもうまくやれると思うの」

 

そんなことを言っていた。

 

俺は自分のこと頭がいいと思ったことはないけど、でも80過ぎの女性にできて俺にできないなんてことはない。

 

 

Iさんの家に滞在したのは2時間ほど。

振り返ってみても、とても密度の濃い2時間だった。

 

 

自宅へと帰るため自転車を走らせながら、俺はすでに株を始めようと決意していた。

具体的にこうしたいみたいなビジョンはなく、ただ漠然と

 

「株で金儲けだ! 配当金だ!」

 

などと頭のなかで繰り返していた。

 

 

 

この時はまだ、デイトレードをやろうとは思っていなかったんだよな。

Iさんも、俺にデイトレを勧めていたわけではなかったろうに。

 

でも、この日Iさんと会話をしなければ、株をやろうなんて絶対思わなかっただろう。

そういう意味ではこの日の出来事が一つの転機だったことは間違いない。